TOP 指導医向け、研修医向けコンテンツ 悩める指導医へのあるある辞典 第28回 その気にさせる研修とは ~研修医目線の変革を~

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第28回  その気にさせる研修とは ~研修医目線の変革を~

福井大学医学部附属病院 総合診療部 教授
林 寛之 先生
(審J2005072)

日常業務+研修医教育「研修医指導は面倒くさい」そう思う気持ちもわからないではない。日常業務だけでも忙しいのに一文にもならない研修医教育に時間を割き、ちょっと教えてあげると今度は「カンファランスぐらいやってもらえないんですか」といい、そのうち「トレーニングコースぐらい開いてくれないんですか」という。まぁ、これもマンパワーがあって初めてできるものなんだけど、その指導医の悲哀を研修医はなかなか介してくれない。ま、将来自分が高齢化した時に日本の医療を支えるのはまさしく今の若者世代なのだから、決して自分の老後も人任せにはできない。ここはぐっとこらえて、優秀な医師を輩出しようではないか。

医師の中にも指導が好きな人、嫌いな人がいたっておかしくないし、それ自体は当然のことだ。一方、研修医の味方(そう、あなたです!)としては、研修医にいい研修を受けてもらうためにどう同僚を巻き込んでいくかが次の課題になる。

上級医をその気にさせる研修医の心得え

患者さんにはいつも気を使っているのに、上級医にだってもう少し気を使ってもいいじゃないか。実は上級医でさえ、なかなか褒めてもらう経験はないのだ。特に男性医師は、褒められるとつい嬉しくて「よせやい!」と怒ってしまうが、これは照れ隠しなのだ。

ここで上級医がその気になってついつい研修医を指導したくなってしまう方法を、あなたの愛弟子である研修医達に伝授しよう。

①あいづち上手は教えられ上手

教えられ上手の研修医になるために、必殺呪文Dr.林の「なべ、おたま」と唱えよう

教えられ上手の必殺呪文  なるほど

 勉強になります

 おっしゃる通りです

 確かに

 またご指導よろしくお願いします!

この「なべ、おたま」をうまくローテーションさせて、上級医が指導してくれる時に間髪入れずに、感動を込めて相槌を打つのだ。そうすると上級医は「おや?今年の研修医はなかなかやる気があるな。じゃ、もうちょっと教えちゃおうかな」なんて思ってくれるもんだ。

②メモをとるべし

上級医が教えてくれる時は必ずメモしよう。メモしながら話を聞くのは、やる気のある研修医の必須アイテムだ。もし上級医が前回当直した時に既に教えたことを話していても、「あ、それ、この前聞きました」と話の腰を折ってはいけない。いっぱいいる研修医に何を話して何を話さなかったのかなかなか覚えられないばかりか、うぅーん、上級医は記録力が少し・・・という状況にもなってくるんだから、そこのところは愛情を持って初めて聞いたような顔をして目を見開いて話を聞こう。

③質問をするべし

上級医が教えてくれたら必ず質問をするようにする。「きちんと話を聞いていましたよ」というメッセージを送っていることに他ならない。質問をされると、上級医は嬉しいものだ。ただここでちょっと要注意なのは、EBMを振りかざして、異なる意見で挑戦すること。EBMはあくまでも臨床で使う道具であって、上級医を崖っぷちにたたせる刃ではない。教えてもらっている時は素直に、今の話の内容に関して質問するようにした方がいい。もし上級医がイライラし始めたら、質問はそこでおさめて次の患者の診察に行こう。人間わからないとイライラするものなんだよ。

④ポジティブ思考を持って上級医に接するべし

上級医だって千差万別、いろんな人がいる。誰でも100点満点のコミュニケーションスキルを持っているわけではないが、日常業務では必ず学ぶべきものはある。

そこは研修医の気の持ちようというもの。こう考えれば、みんないい人!

質問してもなかなか答えてくれない上級医
思慮深く、言葉を選んでいる証拠
アカデミックな事より現場でこきつかう上級医
現場でこそ本物の臨床の腕が磨かれることを知っている上級医
瞬間湯沸かし器のように怒る上級医
熱血指導に燃える上級医
愛想の悪い上級医
媚を売らない正義感の持ち主。他人に流されず診療に当たる強い意思の持ち主
頭が固い上級医
肝が据わっていて、心が強い。確固たる臨床経験が自信の源になっている
陰気で無口な上級医
自分の世界を持っており、かつ聞き上手
口下手な上級医
誠実で一生懸命なため、本当に大事な事しか言わない
口うるさい上級医
重要なことを示唆してくれる思いやりの表れ
とても厳しい上級医
嫌われることを差し置いても本当に大切に思ってくれる表れ。生き抜く厳しさも指導
気分屋の上級医
感情豊かな人、素直な人

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