TOP 指導医向け、研修医向けコンテンツ 悩める指導医へのあるある辞典 第27回 研修病院はどこがいい?

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第27回  研修病院はどこがいい?

福井大学医学部附属病院 総合診療部 教授
林 寛之 先生
(審J2005071)

ガンガン臨床経験を積むべきか vs スマートな体系だった教育体制が重要か

現場重視型 じっくり勉強派 研修医達の悩みは尽きない。将来どんな専門医になりたいか。どんな研修を受けたらベストなのか?華々しい経歴を持たないといい医者にはなれないのか?などなど。

臨床をする上で、臨床経験に勝るものはないものの、型をおさめずに空手を行うようなものでは、自己流で終わってしまう可能性も否めない。じゃ、やはりスマートな教育体制が整い、当直では必ず指導医がおり、カンファランスは山ほどあり、尚且つ症例数も十分あるところの研修がいいのか。そういう有名病院は、研修医になる競争も激しく、まずは優秀でなければならない。あぁぁぁ。必ずしもすべての研修医が望みどおりにそのような研修病院で研修ができるわけではない。

症例数は少ないものの、教育活動が多い大学病院のようなところはどうか?非常に珍しい疾病も見られ、高度な医療に触れることもでき、時間的余裕もあり、なおかつ自分の出身大学の卒業生を大事にしてくれるという特典付きだ。じっくり勉強派にはいいところだ。

ただ若い医者ががむしゃらに働く期間は遅かれ早かれ確かに必要であり、手取り足取り教えられてばかりいたのでは地頭力がつかないばかりか、設備の整った大病院でしか働けない医師しか養成できなくなってしまう。患者さんから学ぶことが多いことを若いうちに経験しないでどうするのか・・・

はて、答えが出ないかというとそんなことはない。実はたかだか初期研修や後期研修ぐらいで一人前の医者が出来上がるはずもなく、医師人生は長く常に勉強しないといけないのは多くの先人たちが示している。結局、臨床経験が先か、系統だった勉強が先かなんてどっちでもいいのだ。どちらも経験することの方が重要であり、どちらが先でもいいのだ。むしろ長い目で見た時に偏りのないバランスのとれた臨床の場を経験していくことの方が重要だ。

自分にあった研修病院選びを

どんな研修病院がいいか、ということを問うより、自分に合う研修病院はどこかを問う方がいいだろう。

研修病院の特色も十人十色であり、100病院あれば100通りの特色のある研修ができる。野戦病院のような忙しさで指導医がいなくても、ガッツのある人なら十分地頭力を使えばいい研修になるはず。理不尽極まりない扱いをされるのも覚悟できる人にとってはなかなかいい修羅場を体験させてくれるだろう。体育会系で理不尽な先輩の命令でも聞ける人向き。しかしながら理路整然と納得無しでは動けない理論派文化系研修医がこんな病院で研修すると精神状態を保つのが大変になってしまう。ある程度臨床経験を積んで体系だったものを持ってから挑戦した方がいいだろう。

理路整然文化系タイプならやはり大学病院などでじっくり体系だったものを身につけるのはなかなかいい。症例数は少なくてもきちんと型を覚えるには最適だ。どんなバネでも飛び上がるには一度縮まないといけない。つまり充電時期と考えて知識を蓄えると良い。

現場重視型だけど忙し過ぎるのはちょっと・・・という人には地域の研修病院がいい。研修医数も少ないが、上級医が希少種としての研修医を大切にしてくれるばかりか、人手が足りないので手技に関しては他の病院よりもはるかにたくさんのことができる。かしこまった講義などは少ないが、現場で即戦力が求められる。初期研修医で内視鏡検査を数百例こなしたというつわものも少なくない。

どんな研修病院がよいか、よりどんないい研修病院にしていくか

口を開けていればすべて初期研修で教えてくれると思ったら大間違い。たった2年しかないのだから、これからの長い医師人生の姿勢を学ぶつもりで臨めばいいのだ。完璧な病院がそうそうあるわけでもなく、むしろ自分が研修している病院を自分の理想の病院にするためにはどのようなアクティビティをしていけばいいのか、院長、研修センター長を含めて十分話し合う機会を作ろう。井上靖は「努力する人は夢を語り、怠ける人は不満を語る」と言った。自分の研修病院が真にいい病院にするのは実は研修医自身の努力なんだよ。そうすれば必ず満足のいく研修ができる。

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