対象とした第Ⅲ相非盲検比較試験*
敗血症性DIC患者における目標AT活性値を定めた
遺伝子組換えアンチトロンビン製剤の治療戦略
感染症に伴い発症したDIC患者を対象とした第Ⅲ相非盲検比較試験
アコアラン電子化された添付文書(一部抜粋)
6. 用法及び用量
<アンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)>
通常、成人には、1日1回36国際単位/kgを投与する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、1日量として72国際単位/kgを超えないこと。
以下、アンチトロンビンをAT、血漿由来人アンチトロンビン製剤(ノイアート®)をpAT製剤と表記する。
試験概要

*2 治験薬投与後に中止した場合、28~30日目に中止時の検査を実施した。
デザイン
実薬対照、非盲検、無作為化、並行群間比較試験
目的
血漿由来人アンチトロンビン製剤(pAT製剤)を対照薬とした多施設共同非盲検無作為化並行群間比較法によりアコアランの有効性および安全性を検討する。
試験方法
ヘパリン類*3の併用のもと*4、登録時の体重に基づいてアコアラン36 IU/kg/日またはpAT製剤30 IU/kg/日を1日1回5日間点滴静注した。2回目以降の投与は、1回目の投与と同時刻に行ったが、1回目の投与と同時刻に実施できない場合、前回投与から12時間以上27時間以内に投与した。
*3未分画ヘパリン、低分子ヘパリン、ヘパリノイド *4ヘパリン類の併用により出血を助長する危険性のある場合は、アコアランまたはpAT製剤の単独投与を行うこととした。
対象
感染症が直接誘因となり発症したDIC患者
主な登録基準
- 米国胸部専門医学会および米国集中治療医学会(ACCP/SCCM)sepsis基準(全身性炎症反応症候群(SIRS)項目のうち2項目以上+Infection)を満たす患者(severe sepsis、septic shock含む)
- 急性期DIC診断基準のDICスコアが4以上の患者
- AT活性(施設測定)が70%以下の患者
主な除外基準
- 重篤な薬物アレルギーの既往歴または現病を有する患者
- 劇症肝炎、非代償性肝硬変等の重篤な肝障害のある患者
解析計画および評価項目
原則、カテゴリカルデータは度数および割合を算出し、連続量は被験者数、平均値、標準偏差、最小値、中央値、最大値の基本統計量で要約した。
主要評価項目*5
DIC離脱*6の有無
主要な評価時点を投与開始後6日目(または中止時*7)として、投与群ごとにDIC離脱割合および95%信頼区間を算出した。
副次評価項目
- DICスコア*8
各時点のDICスコアおよび投与開始前からのDICスコアの変化量に関して、投与群ごとに基本統計量を算出した。 - 被験者の転帰*9
投与開始後28日目の転帰を投与群ごとに生存割合で要約した。 - 臓器症状(SOFAスコア*10)
各時点のSOFAスコアおよび投与開始前からのSOFAスコアの変化量に関して、投与群ごとに基本統計量を算出した。 - 重症度(APACHE Ⅱスコア*11)
各時点のAPACHE Ⅱスコアおよび投与開始前からのAPACHE Ⅱスコアの変化量に関して、投与群ごとに基本統計量を算出した。 - 血漿中AT活性(集中測定)
各時点のAT活性および投与開始前からのAT活性の変化量に関して、投与群ごとに基本統計量を算出した。AT活性は集中測定の抗トロンビン活性を使用した。
*5全例と登録時AT活性別(50%未満、50%以上70%以下)(サブグループ解析)の離脱割合で層調整(Woolson-Beanの方法)した投与群ごとのDIC離脱割合および95%信頼区間を算出した。 *6急性期DIC診断基準から算定したDICスコアが4未満の場合を離脱と定義する。 *7投与開始後6日目の検査終了までに中止した場合、中止後速やかに検査を実施した。 *8急性期DIC診断基準から算定したDICスコア(SIRS、血小板数、PT比、FDP(Dダイマーより換算可能)の4項目から算定。最大スコアは8) *9登録時AT活性別(50%未満、50%以上70%以下)(サブグループ解析)の生存割合で層調整(Woolson-Beanの方法)した投与群ごとの生存割合を算出 *10Sequential Organ Failure Assessmentスコア(臓器障害スコア) *11The Acute Physiology and Chronic Health Evaluation Ⅱ(重症度スコア)
安全性
治験薬投与開始後に発現または悪化したすべての有害事象および副作用を対象として、投与群ごとに内容別の頻度を集計した。内容別の頻度集計は、MedDRA/J version 16.0のPTおよびSOC別に実施した。
アコアラン電子化された添付文書(一部抜粋)
7. 用法及び用量に関連する注意
<効能共通>
7.3 本剤の使用にあたっては、少なくとも2日以上使用してその効果を判定し、使用の継続を判断すること。
<アンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)>
7.4 ヘパリンを併用する場合は、通常ヘパリン10,000単位を1日持続点滴することが適当と考えられるが、臨床症状により適宜増減すること。ただし、ヘパリンの投与は1時間当たり500単位を超えないこと。
投与患者
症例数

症例数

抗凝固療法および補充療法の併用状況

10. 相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
抗凝固剤[トロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え)製剤等]:本剤の作用が増強するおそれがある。
主要評価項目
DIC離脱*1の有無(投与開始後6日目または中止時)(主要評価項目)

登録時AT活性別のDIC離脱*1の有無(投与開始後6日目または中止時)(主評価項目のサブグループ解析)

- 症例数投与開始後6日目(または中止時)におけるDIC離脱率は、アコアラン群で56.4%(110例中62例)[95%CI:46.6-65.8%]、pAT製剤群で52.7%(112例中59例)[95%CI:43.0-62.2%]であった。
- 登録時AT活性が50%未満の患者では、アコアラン群で46.3%、pAT製剤群で46.5%、登録時AT活性が50~70%の患者では、アコアラン群で61.8%、pAT製剤群で56.5%であった。
副次評価項目
DICスコア*2

-
登録時のDICスコアは、アコアラン群で5.6±1.2(平均値±標準偏差、以下同様)、pAT製剤群で5.6±1.4であった。
投与開始後6日目(または中止時)では、アコアラン群で3.1±2.2、pAT製剤群で3.2±2.2であった。登録時から投与開始後6日目(または中止時)のDICスコアの変化量は、アコアラン群で-2.4±2.2であり、pAT製剤群で-2.4±2.3であった。
被験者の転帰(投与開始後28日目)
(副次評価項目)
登録時AT活性別の被験者の転帰(投与開始後28日目)
(副次評価項目のサブグループ解析)


- 投与開始後28日目の生存率は、アコアラン群で87.3%(110例中96例)[95%CI:79.6-92.9%]、pAT製剤群で77.7%(112例中87例)[95%CI:68.8-85.0%]であった。
- 登録時AT活性が50%未満の患者では、アコアラン群で85.4%、pAT製剤群で76.7%、登録時AT活性が50~70%の患者では、アコアラン群で89.7%、pAT製剤群で78.3%が生存していた。
臓器症状(SOFAスコア*)

- 登録時のSOFAスコアは、アコアラン群で9.1±3.3、pAT製剤群で8.9±3.7であり、投与開始後6日目(または中止時)では、アコアラン群で6.0±3.9、pAT製剤群で6.3±4.5であった。SOFAスコアの変化量は、投与開始後6日目(または中止時)では、アコアラン群で-3.1±3.3、pAT製剤群で-2.6±3.6であった。
重症度(APACHE Ⅱスコア*)に及ぼす影響
参考情報

-
登録時のAPACHE Ⅱスコアは、アコアラン群で18.2±6.5、pAT製剤群で18.8±6.8であり、投与開始後6日目
(または中止時)では、アコアラン群で14.4±7.5、pAT製剤群で15.7±7.3であった。
APACHE Ⅱスコアの変化量は、投与開始後6日目 (または中止時)では、アコアラン群で-3.5±6.1、pAT製剤群で-2.8±6.1であった。
血漿中AT活性(集中測定)

- 登録時の血漿中AT活性は、アコアラン群で54.2±11.3%、pAT製剤群で53.1±14.1%であった。投与開始後6日目(または中止時)では、アコアラン群で104.0±27.4%、pAT製剤群で112.0±26.4%であった。登録時から投与開始後6日目(または中止時)の血漿中AT活性の変化量は、アコアラン群で49.9±23.7%であり、pAT製剤群で58.8±24.9%であった。
安全性
安全性解析対象集団221例(アコアラン群108例、pAT製剤群113例)において、副作用はアコアラン群で24例(22.2%)およびpAT製剤群で16例(14.2%)に発現した。
主な副作用は、アコアラン群で貧血、胃腸出血、血中ビリルビン増加、脳梗塞、薬疹および皮下出血が各2例(1.9%)、pAT製剤群では肝機能検査異常、血尿および皮下出血が各2例(1.8%)であった。
死亡に至った副作用は、アコアラン群で認められた敗血症、敗血症性ショック、成人スチル病の各1例(敗血症および成人スチル病は同一症例)で、pAT製剤群では認められなかった。
また、その他の重篤な副作用は、アコアラン群では胃腸出血、脳梗塞、卒中の出血性変化が各1例(0.9%)に認められ、pAT製剤群では血胸が1例(0.9%)に認められた。
アコアランの特徴 患者さん一人ひとりに合わせた投与量を。

用量は、ノイアートの1.2倍に設定されました*。
*承認時評価資料:血漿由来人アンチトロンビン製剤との生物学的同等性試験
薬物動態パラメータ(血漿中AT活性)

方法:健康成人男性(アコアラン群21例、ノイアート群21例)を対象に、アコアラン 72 IU/kg、ノイアート 60 IU/kgを1日1回3日間反復点滴静脈内投与し、投与前の値で補正した平均血漿中AT活性推移、3日目投与後の薬物動態パラメータを測定した。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1重大な副作用 11.1.1ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
呼吸困難、喘鳴、胸内苦悶、血圧低下、チアノーゼ等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 11.2その他の副作用

※詳細については最新の電子添文の副作用および臨床成績の安全性の結果をご参照ください。
構造
アンチトロンビン
ガンマ(遺伝子組換え)は、432個のアミノ酸残基からなる糖たん白質で、主に4ヵ所に糖鎖が結合している(図1)。
結合している主な糖鎖の構造は、図2の①および②のいずれかである。


2025年1月掲載
(審J2405048)
敗血症性DIC患者における目標AT活性値を定めた
遺伝子組換えアンチトロンビン製剤の治療戦略
敗血症性DIC患者における遺伝子組換えアンチトロンビン製剤投与とAT活性値の影響
本試験には、症例数が少ない、試験期間が短い、単施設研究デザインであるなど、いくつかの制約があります。
遺伝子組換えアンチトロンビン製剤、アコアラン静注用600・1800のご使用にあたっては、電子化された添付文書をご参照ください。
試験概要
背 景
遺伝子組換えアンチトロンビン(rAT)製剤の播種性血管内凝固症候群(DIC)における用法・用量は、血漿由来アンチトロンビン製剤とは異なり、個々のAT活性値と体重を考慮し、1回あたり36~72 IU/kgの範囲で投与される。しかしながら、rAT製剤の理想的な投与量は未だ不明である※。
目 的
敗血症性DICかつAT活性値70%未満でrAT製剤が投与された患者における、AT活性値の推移とDIC離脱率に及ぼす影響および予後を検討して、rAT製剤の理想的な投与量を明らかにすることを目的とした。
試験デザイン
対象と 研究方法 |
2018~2020年までに九州大学病院ICUに入室し、敗血症性DICと診断された連続38例のうち、AT活性値が70%未満でrAT製剤が投与された31例のデータを対象とした、単施設後向き観察研究。 |
---|---|
AT活性値の 測定日 |
rAT製剤投与前を0日目とした。その後、1日目、2日目、3日目のAT活性値を測定した。 |
rAT製剤の 投与量 |
36~72IU/kg/回の範囲で投与した。 |
rAT製剤の 投与日 |
0日目、1日目、2日目に1日1回投与した。 |
スケジュール

臨床評価 |
|
---|---|
統計解析 | 群間差の検定はone-way ANOVAを用い、同一群間のrAT製剤投与前後の比較には対応のあるt検定を用いた。DIC離脱率の生存曲線はKaplan‒Meier法を用い算出し、群間比較にはlog-rank検定を用いた。5日目のDIC離脱率/28日生存率に関する3日目のAT活性値のカットオフ値は、ROC曲線解析を用い算出した。 |
アコアラン電子化された添付文書(一部抜粋)
6.
用法及び用量
〈アンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)〉
通常、成人には、1日1回36国際単位/kgを投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、1日量として72国際単位/kgを超えないこと。
3日目のAT活性値達成群を(70%および80%に)設定した理由
- AT活性値70%がrAT製剤の治療開始基準であること
- AT活性値80%がAT活性値の正常下限値であること
患者背景
患者背景 | 平均(範囲)または例数 |
---|---|
年齢 | 59.8 ± 16.2 (31-87) |
男性/女性 | 17/14 |
体重(kg) | 55.8 ± 16.2(45.2-78.5) |
原因となった感染症の種類 | |
肺炎 | 11 |
肝・胆道感染症 | 6 |
泌尿器感染症 | 5 |
腹腔内感染症 | 4 |
心臓・血管感染症 | 2 |
不明 | 3 |
mSOFAスコア* | 10.9 ± 4.8(2-19) |
APACHEスコア | 18.8 ± 8.7(6-36) |
急性期DICスコア | 5.6 ± 1.3(4-8) |
AT活性値 | 44.7 ± 11.9(23-60) |
血小板数 (×104) | 7.8 ± 5.8 (3.4-14.1) |
PT-INR | 1.4 ± 0.5(1.03-3.29) |
FDP | 26.7 ± 59.6(4.7-242.0) |
*Modified SOFAスコア(mSOFAスコア):中枢神経系を除く各臓器スコアを合計したSOFAスコア
有効性 3日目および5日目の急性期DICスコアとDIC離脱率の推移

急性期DICスコアは、0日目と比較して、rAT製剤投与開始5日目に有意な差が認められた。

DIC離脱率は、3日目に32.2%(10/31)、5日目に63.3%(19/30)であった。
DIC離脱率 3日目のAT活性値70%および80%達成群別


AT活性値70%および80%以上達成群は、各未達群に対してDIC離脱率に有意な差が認められた。なお、AT活性値70%に達しなかった患者群ではDICの離脱はみられなかった。
28日生存率 3日目のAT活性値70%および80%達成群別


AT活性値70%以上および80%以上達成群は各未達群に比べて、28日生存率に有意な差が認められた。
カットオフ値 28日生存率およびDIC離脱率における予測因子としてのAT活性値のROC曲線

28日生存率のROC曲線によると、3日目のAT活性値の曲線下面積(AUC)は0.92であった。
AT活性値のカットオフ値は79.5%であった。(感度85.7%;特異度87.5%)

5日目のDIC離脱率のROC曲線によると、3日目のAT活性値のAUCは0.807であった。
AT活性値のカットオフ値は81.5%であった。(感度75.0%;特異度78.9%)
rAT製剤投与後の本試験結果のまとめ
0日目と比較し、rAT製剤投与開始5日目に有意な差が認められた。 (p<0.001,対応のあるt検定)
3日目に32.2%、5日目に63.3%がDICから離脱した。 名目上のp値
AT活性値が70%以上および80%以上を達成した群のいずれも、各未達群に比べ、DIC離脱率※1および28日生存率※2に有意な差が認められた。
※1 70%以上 p=0.008, 80%以上 p=0.0439(log-rank検定)
※2 70%以上 p<0.001, 80%以上 p<0.01(log-rank検定)
名目上のp値
理想的には80%とすることが示唆された
AT活性値70%以上の達成によりDIC離脱率、28日生存率に有意な差が認められ、また、28日生存率に関する3日目のAT活性値のカットオフ値が79.5%※3である場合のAUC値(0.92)が高かった。したがって、目標AT活性値は少なくとも70%、理想的には80%を3日以内に達成することがDIC治療で重要であると考えられる。
※3 ROC曲線解析:p<0.001
名目上のp値
本試験の考察
本試験では、肝不全や肝硬変の患者はいなかったにもかかわらず、投与3日目のAT活性値80%以上を達成しなかった患者が存在した。この原因は、重度の炎症によるATの血管外漏出とrAT製剤の投与量の不足であると考えられる。
したがって、rAT製剤を投与する場合、目標AT活性値を達成するための投与量を考慮すべきである。
本試験データから導き出された計算式※4によると、AT活性値が30%未満の場合、目標AT活性値80%を達成するためには、rAT製剤の用法・用量の範囲である1回あたり36~72 IU/kgのうち、高用量投与(60~72 IU/kg)※5も考慮すべきである。
※4 計算式はこちらをご参照ください ※5 アコアラン 電子化された添付文書(一部抜粋)6. 用法及び用量
<アンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)>
通常、成人には、1日1回36国際単位/kgを投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、1日量として72国際単位/kgを超えないこと。
安全性
本論文中に安全性に関する記載はありませんでした。
安全性については、電子化された添付文書およびDI頁をご参照ください。
Limitations
本試験には、症例数が少ない、試験期間が短い、単施設研究デザインであるなど、いくつかの制約があります。
敗血症性DICにおける目標AT活性値を達成するために必要なrAT製剤の投与量の目安(1日あたり)
早見表
目標AT活性値 との差(%) |
用量 (IU/kg) |
体重 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
30kg | 40kg | 50kg | 60kg | 70kg | 80kg | ||
22 | 36 | 1,080 | 1,440 | 1,800 | 2,160 | 2,520 | 2,880 |
30 | 45 | 1,350 | 1,800 | 2,250 | 2,700 | 3,150 | 3,600 |
40 | 55 | 1,650 | 2,200 | 2,750 | 3,300 | 3,850 | 4,400 |
50 | 65 | 1,950 | 2,600 | 3,250 | 3,900 | 4,550 | 5,200 |
57 | 72 | 2,160 | 2,880 | 3,600 | 4,320 | 5,040 | 5,760 |
目標AT活性値を達成するために必要なrAT製剤の用量
本試験データ※から導き出した計算式
必要用量(IU)/kg = ([目標AT活性値-投与前AT活性値]+15.17)/1.01
▼
AT活性値30%の患者の場合、
AT活性値80%を達成するのに必要用量は次のように算出される。
64.6IU/kg =
([80-30]+15.17)/1.01
6. 用法及び用量
〈アンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)〉
通常、成人には、1日1回36国際単位/kgを投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、1日量として72国際単位/kgを超えないこと。
2023年6月掲載(2025年2月更新)
(審J2405048)
監修者コメント
九州大学大学院医学研究院 救急医学講座 高度救命・災害医学分野 教授
赤星 朋比古 先生
本研究の結果より、敗血症性ショックのDIC患者において、患者の体重とAT活性値に応じてrATを投与しないと、十分なAT活性値の上昇が認められず、結果としてDIC離脱と予後改善が得られないと考えられる。
そのため、目標AT活性値を達成するための投与量を検討すべきである。
本研究で得られた計算式は、rAT製剤1回投与におけるAT活性値の上昇量を求めるものである。但し、必ずしも1日目に目標AT活性値を達成する必要はなく、3日目に少なくともAT活性値70%以上になるような投与計画でよいと考える。
そのためには、投与後のAT活性値のモニタリングを適宜行うことが重要と考えられる。