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急性中耳炎

効能・効果 追加について

タイトル

新しい効能・効果が承認されました

効能・効果 血清 IgG2値の低下を伴う、肺炎球菌又はインフルエンザ菌を起炎菌とする急性中耳炎、急性気管支炎又は肺炎の発症抑制
(ワクチン接種による予防及び他の適切な治療を行っても十分な効果が得られず、発症を繰り返す場合に限る)
効能・効果に
関連する
使用上の注意
血清 IgG2値の低下を伴う、肺炎球菌又はインフルエンザ菌を起炎菌とする急性中耳炎、急性気管 支炎又は肺炎の発症抑制に用いる場合は、投与開始時に以下のすべての条件を満たす患者にのみ投与すること。
  • 過去 6 ヵ月間に急性中耳炎として4 回以上、又は、急性気管支炎若しくは肺炎として2 回以上の発症を認めること。
  • 起炎菌として肺炎球菌又はインフルエンザ菌が同定されていること。
  • 血清IgG2値 80mg/dL 未満が継続していること。
用法・用量 人免疫グロブリンGとして初回は300mg(6mL)/kg 体重、2回目以降は200mg(4mL)/kg 体重を 投与する。投与間隔は、通常、4週間とする。
用法・用量に
関連する
使用上の注意
血清 IgG2値の低下を伴う、肺炎球菌又はインフルエンザ菌を起炎菌とする急性中耳炎、急性気管支炎又は肺炎の発症抑制に用いる場合は、本剤の投与は6 回を目安とすること。なお、投与を再開 する場合には、対象患者の条件(「効能・効果に関連する使用上の注意」の項参照)への適合を再度確認し、本剤投与の要否を判断すること。

用法用量概略図

■ 新効能・効果の設定根拠について

国内第Ⅲ相臨床試験は「IgG2欠乏症」を対象疾患として実施しましたが、「IgG2欠乏症」については確立した定義・診断基準がないことから、〈効能・効果〉について再検討した結果、臨床試験の患者選択基準に準じた内容といたしました。

臨床試験実施後に2 歳未満の小児に対して接種可能な肺炎球菌ワクチン及びインフルエンザ菌b型ワクチンが承認されたため、ワクチン接種を行っても十分な効果が得られない患者を本剤の使用対象とするよう〈効能・効果〉 に設定しました。

国内第Ⅲ相臨床試験の患者選択に際しては、①急性中耳炎及び下気道炎の易感染性②起炎菌の同定③血清IgG2濃度の確認を行っていたことから、これらを〈効能・効果に関連する使用上の注意〉において条件設定する ことにより、本剤使用対象患者を選択することが可能になると判断しました。

■ 本効能・効果における免疫グロブリン補充療法の臨床的位置付けについて

IgG2 IgG2イラスト

IgG2の低下により、既存 のワクチン接種による予防及び他の治療では、肺炎球菌又はインフルエンザ菌b型を起炎菌とする急性中耳炎、急性気管支炎又は肺炎の発症を抑制できず、発症を繰り返す患者に対して、更なる感染による発症を抑制する。

■ IgG2とその低値について

IgG2は、細菌の莢膜多糖体抗原に対する抗体を多く含みます。 IgG全量が正常でも、IgG2が低値を示す原因として、乳幼児期の産生遅延や遺伝子異常による産生不全が知られています。

出生後に母胎由来の IgGが減少した後、IgG2は、乳幼児期を通じて緩やかに増加し、4~6 歳でようやく成人のほぼ 2/3 に達することが知られています。

IgG2の低値により、肺炎球菌やインフルエンザ菌b型等の莢膜多糖体を有する細菌に対し易感染性となり、主として急性中耳炎、ときに急性気管支炎、肺炎等を反復罹患することが あります。

菌の画像

国内第Ⅲ相臨床試験

警告・禁忌を含む使用上の注意等は添付文書をご参照下さい。

(承認時評価資料:日本臨床免疫学会会誌 21: 70-9,1998 他)

目 的 GB-0998(ヴェノグロブリンIH)のIgG2欠乏症に対する有効性、安全性および有用性の検討
実施期間 1995年1月~ 1997年2月
対 象 IgG2欠乏症
主要評価項目 免疫グロブリン補充療法中の感染症の発症回数
試験デザイン 多施設共同非盲検非対照試験
■ 対象:仮登録
1.選択基準(仮登録の条件)
以下の①または②の条件を満たす患者を仮登録する
 ①急性中耳炎*1を過去6ヵ月間に5回程度以上の反復で認めた患者
 ②下気道炎(急性気管支炎*2または肺炎*3)を過去6ヵ月間に2回以上の反復で認めた患者

 *1)急性中耳炎の診断基準:以下の3つの基準のいずれかを満たす
     a. 鼓膜発赤と中耳膿性分泌物
     b. 鼓膜の発赤と膨隆
     c. 鼓膜の発赤と穿孔

 *2)急性気管支炎の診断基準:以下の3つの基準のすべてを満たす
     a. 咳嗽、もしくはその他の下気道症状を認める
     b.聴診所見で呼吸音増強、または湿性ラ音、もしくは胸部X 線所見で肺紋理の増強を認める
     c. 以下のいずれかを認める
        i )肺炎球菌やインフルエンザ菌等の化膿菌が同定される
        ii )好中球増多もしくはCRP 陽性(>2mg/dL)を認める

 *3)肺炎の診断基準:以下の4つの基準をすべて満たす
     a.発熱、ならびに咳嗽もしくはその他の下気道症状を認める
     b.聴診所見で呼吸音減弱、または湿性ラ音、もしくは乾性ラ音を認める
     c.胸部X 線所見で異常陰影を認める
     d.以下のいずれかを認める
        a)肺炎球菌やインフルエンザ菌等の化膿菌が同定される
        b)好中球増多もしくはCRP 陽性(>2mg/dL)を認める
2.選択基準(本登録の条件)
血清IgG 値が正常域で下記の条件を満たす患者
  (1)仮登録の条件を満たす患者
  (2)血清IgG2 値が80mg/dL 未満の患者
3.除外基準
下記の患者は除外する
  (1)低・無ガンマグロブリン血症の患者
  (2)人免疫グロブリン製剤に対して過敏症の既往歴のある患者
  (3)IgA 欠損症(血清中5mg/dL 未満)の患者
  (4)重篤な合併症のある患者
  (5)治験担当医師が不適当と判断する患者
■ スケジュール
試験スケジュール
試験スケジュール

※ただし、急性中耳炎、急性気管支炎又は肺炎が継続している症例は急性期を過ぎ、感染症の病状が「仮登録の条件に記載された診断基準」を満たさないことを確認した後に補充療法を開始する。

検査項目
検査項目

生理学的検査項目:脈拍、体温、自・他覚症状
時期:各投与時の投与開始直前および終了直後

血液学的検査項目:赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、白血球数、白血球分画、血小板数
時期:各投与時の投与開始直前

生化学的検査項目:GOT、GPT、Al-P、γ-GTP、クレアチニン、総たん白、尿酸、BUN
時期:各投与時の投与開始直前

免疫学的検査項目:IgG、IgGサブクラス、IgA、IgM、抗肺炎球菌特異IgG2 抗体価、補体(CH50、C3、C4)
時期:仮登録時、各投与時の投与開始直前・終了直後、最終投与終了後4週及び8週、初回投与後2 週は可能な限り、なお、補体は初回投与時の投与開始直前・直後のみ実施する。

尿検査項目:たん白、糖、沈渣
時期:各投与時の投与開始直前

■ 被験薬の投与および併用禁止薬・併用禁止療法
用法・用量

GB-0998を人免疫グロブリンGとして初回は300mg(6mL)/kg体重、2回目以降は200mg(4mL)/kg体重を点滴静注にて投与する。投与間隔は原則として4週毎とし、初回を含めて合計6回投与する。

用法用量イラスト

併用禁止薬および併用禁止療法

本剤の評価に影響を及ぼすと考えられる下記の薬剤および療法の併用は禁止する。

抗菌薬
予防的投与は禁止する。但し、感染症発症による治療上必要な場合は使用可とする。

被験薬以外の人免疫グロブリン製剤

鼓膜チューブ留置術

■ 登録患者の背景

患者背景

※本剤投与期間中の血清IgG2 値正常化(有効性・有用性評価対象外)について

患者自身により産生されたIgG2が試験期間中に正常域(80mg/dL 以上)に到達した症例については、薬剤の評価において、同列に評価することは不適切と考えられました。

投与スケジュールに従って被験薬が投与された時のIgG2血中動態シミュレーションを行い下記判別基準を設けました。下記基準に該当する症例は、投与期間中にIgG2 値が自然に正常化した可能性があるとし、有効性・有用性の評価から除外しました。

【判別基準】 血清IgG2 値が6 回目投与後4 週に139mg/dLより高値、かつ6 回目投与後8 週に114mg/dLより高値であった症例

判別基準

有効性評価対象症例の仮登録時における血清IgG2 値と抗肺炎球菌特異IgG2 値、抗インフルエンザ菌b 型特異IgG2値

急性中耳炎IgG2値

下気道炎IgG2値

■ 臨床成績(有効性)[検証的解析結果]

本剤投与開始から6回目投与終了4週後までの感染症発症回数に基づいて4段階で判定されました。

急性中耳炎25例の本剤投与開始前6ヵ月間の発症回数は、5回が11例と最も多く、次いで4回が8例、6回以上が6例で、平均5.2回でした。

下気道炎8例の本剤投与開始前6ヵ月間の発症回数は、2回が5例、4回が3例で、平均2.8回でした。

有効性判定基準

◆ 試験結果1

有効性評価対象33例において、著効20例、有効6例、無効2例、判定不能5例で、著効と有効を合わせた有効率は78.8%(95%信頼区間:64.5~88.9%)でした。

試験結果1

※1:6回目投与が行われなかった1例の評価(本剤投与開始から5回目投与終了8週後までの感染症発症回数から評価)を含む。

※2:副作用発現のため投与中止に至った4例及び本剤投与期間中に発症した下気道炎の検査所見の記載に不足が認められた。

1例が、判定不能と判断された。

◆ 試験結果2

■本剤投与開始前と投与期間中の急性中耳炎及び下気道炎の発症頻度を比較した結果、本剤投与期間中の急性中耳炎及び下気道炎の発症頻度は、本剤投与開始前と比べて統計学的に有意に低下しました。

急性中耳炎試験結果

■本剤投与開始前と投与期間中の下気道炎の発症頻度を比較した結果、本剤投与期間中の下気道炎の発症頻度は、本剤投与開始前と比べて統計学的に有意に低下しました。

下気道炎試験結果

■ 臨床成績(血清IgG2値、抗肺炎球菌特異IgG2値、抗インフルエンザ菌b型特異IgG2値)

本試験における血清IgG2の平均トラフ値は、本剤投与期間中80mg/dL以上に維持されていました。

2回目投与以降、抗肺炎球菌特異IgG2の平均トラフ値は、1~2歳の健常小児の平均値として報告されている5.56μg/mL  (日本小児科学会雑誌 96:1696-701, 1992)を超えていました。

◆ 血清IgG2値

本試験における血清IgG2の平均トラフ値は、本剤投与期間中80mg/dL以上に維持されていました。

血清IgG値推移

◆ 抗肺炎球菌特異IgG2値

2回目投与以降、抗肺炎球菌特異IgG2の平均トラフ値は、1~2歳の健常小児の平均値として報告されている5.56μg/mL(日本小児科学会雑誌 96:1696-701, 1992)を超えていました。

抗肺炎球菌特異IgG2値

◆ 抗インフルエンザ菌b型特異IgG2値

参考として測定された抗インフルエンザ菌b型特異IgG2においても、2回目投与以降、平均トラフ値はインフルエンザ菌b型感染を予防するために必要とされている0.15μg/mL(Hibワクチン臨床と微生物 32:511-6,2005)を超えていました。

抗インフルエンザ菌b型特異IgG2値

■ 臨床成績(安全性)

安全性評価対象39例における本剤投与開始から6回目投与終了4週後までに発現した有害事象に基づいて5段階で判定されました。

因果関係が否定されない有害事象を全て副作用として取り扱いました。

[安全性判定基準]
[安全性判定基準]

5段階評価において、71.8%(95%信頼区間:57.9~ 83.0%)が安全と判定されました。

安全性5段階判定結果

副作用は39例中11例(28.2%)に38件認められました。主な症状は、発熱(17.9%)、振戦(7.7%)、チアノーゼ、蒼白、悪心、悪寒(いずれも5.1%)で、いずれも一過性でした。転帰はいずれについても軽快ないし回復しており、後遺症を残した症例は認められませんでした。

副作用発現例数

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