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血漿たん白の生理作用

4. アンチトロンビン 10) 11) 35)

ATの構造
合成部位 肝臓
分子量 54,000〜67,000
半減期 60〜70時間

血液のトロンビン阻害活性(antithrombin)は、1950年代前後の研究結果から当初アンチトロンビンI〜VIの6種類に分類されていました。

これらの中で、その後実体が証明され、生理的に重要なものはIIIのアンチトロンビン(AT)のみであるとわかりました。

ATは広くセリンプロテアーゼの阻害活性を有し、血液凝固の制御機構において、最も重要な機能を果たすプロテアーゼインヒビターです。

in vitro では、トロンビンをはじめ、Xa因子(aは活性化型を示す。以下同様)・IXa因子・XIa因子・XIIa因子・血漿カリクレイン等の内因系凝固因子の活性を阻害しますが、生理的には、トロンビン・Xa因子等凝固反応の中枢における阻害作用が重要です。

また、ヘパリン共存下では、ATがVIIa因子-組織因子複合体に対する生理的制御因子としても機能し得ることが示されています。

生理作用

ATのセリンプロテアーゼに対する阻害作用は血液凝固カスケードの上流(カリクレイン)から下流(トロンビン)まで広範囲にわたっています。

血液凝固活性は進行するに従い、増幅することが知られており、ATがトロンビンより上流にある他の凝固因子活性も抑制することは、凝固阻害において意義があります。

特に、凝固過程の律速段階とされるXa因子は、内因系と外因系の合流部にあたり、1モルのXa因子から138モルのトロンビンが1分間に産生されるといわれており、Xa因子の阻害は重要な意味を持ちます。

またその阻害方法は、1対1のモル比での不可逆的結合です。

アンチトロンビンIIIによる血液凝固の制御

■日本血液製剤機構製品

アンチトロンビン[ ノイアート静注用 ]

詳細は電子化された添付文書を参照するとともに電子化された添付文書の改訂にご留意ください。

審J2312179
参考文献
  • 10)
    櫻川 信男他編:臨床血栓止血学、医歯薬出版、1994年
  • 11)
    上村 八尋ら:基礎と臨床 21、13、5241、1987年
  • 35)
    青木 延雄ら編:凝固・線溶・キニン、中外医学社、1980年

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