日本血液製剤機構の輸入血由来特殊免疫グロブリン製剤の原料血漿は米国で採血されたものです。
米国では1991年からABRA〔米国血液資源協会:American Blood Resources Association 現在のPPTA(血漿蛋白製剤協会:Plasma Protein Therapeutics Association)〕によって、高品質の原料血漿採血プログラム、IQPP(International Quality Plasma Program)が開始されており、日本血液製剤機構の輸入血由来血漿分画製剤はFDAならびにこのIQPPの認定も受けた米国のドナーセンターで採血された血漿を用いています。
まず、ドナー(供血者)の健康状態に対する厳しいチェックが行われます。
米国
採漿時の対策
① 問診・健康診断
アプリカントドナープログラム
ドナーの確認と教育
本人であることの確認と住所不定の者を排除するため、写真入りの身分証明書、社会保障番号の提示を求めます。
また高品質の血漿を採血することの必要性と重要性について教育し、インフォームド・コンセントに同意した者のみがドナーとなります。
NDDR への照会
供血者が過去にドナーとして「不適格である」と登録されていないかどうかを、「National Donor Deferral Registry (NDDR):全国ドナー猶予リスト」に照会します。
医師、看護師等による問診
HIV対策
CJD 対策
各種臨床検査ならびに臨床所見
以下の検査等を定期的に実施し、ドナーの健康状態をチェックします。
(米国赤十字社ホームページより:http://www.redcross.org/)
② 抗原・抗体検査等
③ 核酸増幅検査(NAT)
■HIV-RNA、HAV-RNA、HCV-RNA、HBV-DNA、ヒトパルボウイルスB19-DNA 注)
注) B19-DNA高濃度血漿を排除する目的でミニプールNATを実施
ミニプール血漿における遺伝子混入否定試験
ドナー血漿サンプルをプール(混合)したものについて、HIV-1、HBV、HCV、HAVのNATを実施し、陰性が確認された血漿のみを原料として使用しています。
また、ヒトパルボウイルスB19については、B19-DNA高濃度血漿を排除しています。
アプリカントドナープログラム
適格ドナーの認定システムです。初回ドナーは、初回及び2回目の検査の何れにも合格し、初めて適格ドナーと認定され、原料血漿には適格ドナーからの血漿のみを使用します。
インベントリーホールド
血漿を採漿後、それを原料血漿として用いるまで2ヵ月以上保管しておきます。
血漿検体の保管
原料血漿や血漿分画製剤にウイルス混入が疑われた場合の原因究明等のために、全ドナー血漿検体ならびに原料プール血漿検体を保管しています。
製造工程 【血漿たん白の分離精製 ウイルス不活化・除去対策】
④ 原料プール血漿
HBs抗原、HIV-1/2抗体、HCV抗体、HIV-RNA、HBV-DNA、HCV-RNA、HAV-RNA、HEV-RNA、ヒトパルボウイルスB19-DNA 注)
注)抗D人免疫グロブリン「JB」用原料血漿で実施
⑤ 血漿たん白の分離精製 ウイルス不活化・除去対策
エタノール分画、各種クロマトグラフィー、PEG分画、加熱処理(液状)、ウイルス除去膜処理
(ウイルスクリアランス試験)
最終製品【確認試験】
⑥ 製品試験(核酸増幅検査)
HIV-RNA、HBV-DNA、HCV-RNA、HAV-RNA、HEV-RNA、ヒトパルボウイルスB19-DNA
⑦ 国家検定
⑧ 製造販売後調査
特殊免疫グロブリン製剤用の原料血漿は、特別に次のような血漿が採血されます。
健康成人に HB ワクチンを接種し、抗体力価を維持した血漿。
破傷風トキソイドで免疫した健康成人の血漿。
Rh式血液型のD(Rho)陰性のドナーに、D(Rho)陽性赤血球で免疫することで抗体力価を維持した血漿。なお、免疫する赤血球をFDAの基準に適合した人由来とすることでドナーの安全性を確保している。
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