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血液成分の種類とその働き

血漿成分 8) 9) 10)

血漿たん白の分析

血漿中には、性質の異なる種々のたん白質が多様な存在様式で含まれています。

これらのたん白質は、その物性(イオン荷電や大きさ等)を利用して分別、分析することができます。

図に血漿たん白の電気泳動による分析像を示します。

  • 血漿
    • たん白質 【約7〜8%】
      アルブミン 【50〜70%】

      循環血漿量の維持、血漿膠質浸透圧の維持、色素・薬物の運搬

      血清アルブミン

      性状

      血清アルブミンは、分子量66,500 のたん白質で、585 個のアミノ酸からなる楕円状分子です。血漿たん白の約60%を占める主要な成分で、主に肝臓で合成されています。

      働き

      血管内における膠質浸透圧の維持と全身への物質運搬です。

      γグロブリン【13〜20%】

      IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの免疫抗体を含む

      免疫グロブリン ①IgG

      性状

      免疫グロブリンの約75%を占める主要成分です。分子量は約16 万。正常成人では濃度約1200mg/dL。

      働き

      細菌、真菌、ウイルスの感染でできる抗体のほとんどはこれに属し、感染防御における液性免疫の主役です。

      免疫グロブリン ②IgA

      性状

      免疫グロブリンの約 10 〜 20%を占めます。分子量約 16 万の血清 IgA と、分子量約 39万の分泌型 IgA があります。

      働き

      分泌型IgA は、消化管、気道、粘膜下組織等で産生され、気道、消化管等局所の体腔表面での感染防御に機能を発揮しています。

      免疫グロブリン ③IgM

      性状

      免疫グロブリン中の数%程度です。五量体構造をとっており、分子量は約90万。

      働き

      主に血管内の血中に分布しており、感染性微生物に対して早期(2 〜3 日)に産生される初期抗体の主なものです。

      免疫グロブリン ④IgD

      性状

      免疫グロブリン中の1%以下で分子量は約18万、血中濃度0.03mg/mL です。

      働き

      IgD はIgM と同様にBリンパ球の分化過程において表面免疫グロブリンとして出現することが知られていますが、詳細な生物学的機能は明らかではありません。

      免疫グロブリン ⑤IgE

      性状

      分子量約20 万で、血中濃度0.0003mg/mLと微量です。

      働き

      気道、消化管粘膜、リンパ節等の局所で作られ、皮膚、白血球と結合し、その表面で進入してきたアレルゲン(抗原)と反応してアレルギーを惹起します。

      βグロブリン【5〜18%】

      リポたん白質・ビタミン・ホルモン・鉄・銅の運搬


      αグロブリン【2〜12%】

      リポたん白質・ビタミン・ホルモンの運搬

      α、βグロブリン分画 血液凝固因子【4~10%】血液凝固に関与

      血液凝固因子の種類

      1. フィブリノゲン
      2. プロトロンビン
      3. 組織因子(組織トロンボプラスチン)
      4. カルシウムイオン Ca2+
      5. 不安定因子
      6. 安定因子

       

      1. 抗血友病因子
      2. クリスマス因子
      3. スチュワート因子
      4. 血漿トロンボプラスチンアンチシデント(PTA)
      5. ハーゲマン因子
      6. フィブリン安定化因子(FSF)

      血液凝固カスケード機構における各因子の相互関係(文献11)より一部改変)

      血液凝固カスケード機構における各因子の相互関係
    • その他  【約1〜2%】ブドウ糖、無機物質、ビタミン、ホルモン、脂質他
    • 水分   【約90〜91%】

電気泳動分析でみた血漿たん白の分析像

各血漿たん白はわずかに荷電しています。そのため電気泳動にかけると荷電状況に応じて移動し、このような分析像が得られます。
注)pHにより荷電状況は変化します。

例えばマイナスに荷電しているアルブミンはプラス側に、プラスに荷電しているグロブリンはマイナス側に検出されます。

審J2312179
参考文献
  • 8)
    日比野 進監修:血液学、丸善、1985年
  • 9)
    菊池 浩吉編:医科免疫学 改訂第4版、南江堂、1995年
  • 10)
    櫻川 信男他編:臨床血栓止血学、医歯薬出版、1994年
  • 11)
    上村 八尋ら:基礎と臨床 21、13、5241、1987年

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